企業が賠償責任保険を検討する際は、単純に「保険料が安いか」「補償範囲が広いか」だけで判断するのは十分ではありません。何故なら、注意すべきなのは、企業向け賠償責任保険の多くには、自動車保険や個人向け賠償責任保険のような「示談代行サービス」が付帯していないという点です。

一般の個人向け保険では、事故が発生した際、保険会社が被害者との交渉窓口となり、示談交渉から解決までをサポートしてくれる『示談代行サービス』が付帯しているケースが一般的です。しかし、企業向けの賠償責任保険では、保険会社の『示談代行サービスが付帯していない(示談交渉してくれない)商品が大半です。そのため、実際に事故が起きた際には、企業自身が被害者対応を行い、事実確認、損害範囲の整理、相手方との協議、弁護士や専門家との連携、さらには保険会社への保険金請求資料の作成まで対応しなければなりません。

企業事故では、単なる物損だけでなく、営業停止損害、二次被害、製品回収、情報漏えい、対人事故など、損害の範囲や責任関係が複雑化することも少なくありません。初動対応を誤れば、損害拡大や信用低下につながる可能性もあり、社内担当者にとって大きな負担となります。事故の対応には、専門的な知識や経験が必要であり、特に中小企業では、事故対応専門の部署を持たないケースも多く、通常業務を止めながら対応せざるを得ない状況になりやすいのが実情です。

そのため、企業が賠償責任保険を選定する際には、「補償内容」や「保険料」だけではなく、「事故発生時にどのような支援を受けられるのか」を確認することが重要です。例えば、事故初動時のアドバイス、被害者対応のサポート、必要書類作成支援、保険会社との調整、弁護士や専門家の紹介、事故解決までの伴走支援など、代理店や保険会社によって対応力には大きな差があります。

特に法人向け保険では、契約時には見えにくい「事故対応力」が、実際には保険の価値を大きく左右します。保険料比較だけで契約先を決めた結果、事故時に十分な支援が受けられず、結果的に多大な時間的・人的コストを負担するケースも少なくありません。

だからこそ、企業としては、補償内容や保険料だけでなく、「事故時に誰が、どこまで、実際に支援してくれるのか」を事前に具体的に確認することが重要です。契約前に、過去の事故対応事例、サポート体制、連携専門家、初動対応フローなどを確認し、自社にとって本当に頼れる保険代理店・保険会社なのかを見極めることが、企業リスク管理、保険コスト削減において非常に重要なポイントとなります。

知らなかったでは済まされないので十分ご留意下さい。